令和2年度第1回研修 「改正意匠法の施行に向けて」 報告

研修委員長 武居 芳樹

[はじめに]

 昨年5月17日に意匠法が改正され、4月1日から改正意匠法が施行されます。施行前に改正ポイントの概要をいち早く把握することにより、弁理士はクライアントに対してさまざまな意匠提案をすることによるビジネスの拡大が期待されます。
 そこで、無名会研修委員会では、昨年の第1回研修に引続き、無名会会員で意匠委員会等にてご活躍されておられる峯唯夫先生と安立卓司先生に講師をお願いし、施行日直前の3月16日に『改正意匠法の施行に向けて』と題する研修会を開催いたしました。
 今回、新型コロナウイルスの感染拡大防止の観点から、懇親会は中止とし、研修会の出席者にはマスク着用を義務付け、会議室での席の配置や室内換気等の対策を行いました。
 このような状況下でしたが31名と多数の方にご出席いただきました。

[講義の内容]

 従来の意匠は、物品の形状等に限定されていましたが、画像意匠の保護の枠組みが改定され、建築物の意匠や内装の意匠が新たな保護対象となりました。これらの意匠について、改正条文や審査基準案をもとに意匠の成立要件、一意匠としての取扱い、出願時の注意事項及び類否判断等の項目について、詳細にご説明をいただきました。
 また、関連意匠制度の拡充については、改正条文をもとに本意匠、基礎意匠、関連意匠の用語の整理、出願時の注意事項等について丁寧にご説明いただきました。
 更に、その他の改正ポイントとして、組み物の意匠の登録要件の緩和、存続期間の延長等についてもご説明頂きました。
 質疑応答の場では、画像の意匠や建築物の意匠等に関して多くの質問がありました。

[所感]

 従来、市場で流通する動産のみが保護対象でしたが、改正により土地の定着物であっても人工建造物であれば建築物として保護されることとなりました。今回の研修で、講師の先生方から「これからの意匠ビジネスの可能性」についてのご意見をいただきましたが、弁理士のスキルを高めれば、意匠ビジネスが拡大する可能性は大きいと感じました。
 また、関連意匠制度の拡充は、諸外国より進んだ制度とのお話でしたが、マツダの車体デザインのように全体の骨格は大きく変えずに、マイナーチェンジを繰り返すようなデザイン戦略の企業に対して効果的であるため、関連意匠の出願の増加も期待できるのではないかと思いました。

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