令和5年度第5回研修 「『流し台のシンク』の事例を通して発明の進歩性を考える」 報告

研修委員 林 司

[はじめに]

 「流し台のシンク」(特許第3169870号)は、東京地裁、知財高裁で争われた特許権侵害差止等請求事件であり、この事件については、本研修の講師である保科先生が、パテント誌(パテント 2023 Vol.76 No.6)において検討されています。
 一方、特許を取り扱う弁理士の業務の多くは、特許権が生まれる前の段階に位置しています。また、特許を取得するまでの大事なテーマの一つとして、「発明の進歩性」があります。このため、本研修では、「流し台のシンク」の事例を通して、実務に即した「発明の進歩性」を保科先生とともに検討することを狙いました。

[講義の内容]

 今回の研修では、10名という比較的少ない参加者でしたが、議論形式での実施を意図していたため、各先生に自己紹介をお願いし、自分の業務や本研修へ参加された理由等をお話し頂き、和やかな雰囲気の中で研修が始まりました。自己紹介後には、講師の保科先生から「流し台のシンク」の発明の内容と出願時の請求項の記載について説明があり、請求項の記載について議論が交わされました。またその後には、拒絶理由通知の内容や、拒絶理由通知後の補正の内容についても、様々な意見が出されました。

[所感]

 今回の研修では、発明の捉え方、請求項の記載、本発明と引用発明の相違点、補正等について、様々な先生方の考え方を伺うことができ、また、疑問に思ったことをすぐに質問できるという、少人数ならではの研修のメリットが発揮できた内容になり、各先生にとっては、貴重な経験を得ることができたように思われ、また、これからの業務にも活かしてもらえることを願っています。

[懇親会]

 研修会の終了後には懇親会が開催され、研修の内容について更なる意見交換が行われるとともに、研修以外の内容についても多くのことについて話すことができ、交流を深めることができたように思います。

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