令和3年度第1回研修 「弁理士のための特許調査のセオリー」 報告

研修委員長 武居 芳樹

[はじめに]

 特許の明細書の作成から権利化までの業務は弁理士の主要業務の1つですが、侵害予防調査や無効資料調査等の目的に応じた調査のセオリーを把握することは非常に重要です。
 そこで、特許検索競技大会で最優秀賞・ゴールド認定(化学・医薬分野)を受賞され、特許の出願権利化業務も行っておられる、無名会会員の角渕由英先生に講師をお願いし、『弁理士のための特許調査のセオリー』と題する研修会を開催いたしました。
 今回、無名会では初めての完全オンライン研修となりましたが、無名会以外の方を含め71名と多数の方にご参加いただきました。

[講義の内容]

 特許調査には技術の理解、調査能力、法的知見が必要です。弁理士は技術の理解に優れるため、特許調査の考え方を身に着けることで最適な調査結果を得ることができます。
 特許調査について、情報調査(6W2H)を意識した調査設計、解決すべき課題・目的の把握、及び費用対効果を考慮した検索式作成の考え方についてご説明いただきました。
 また、予備検索をもとに仮説と検証を繰り返す調査プロセスの重要性をご説明され、各種データベースを用いた調査例についてもご紹介いただきました。
 侵害予防調査では、リスクの的確な把握と適切な調査範囲を設定することが重要であること、無効資料調査では、説得力のある無効理由の構築と何を探すのかストーリーを思い描くことが重要であることをご説明いただきました。
 質疑応答では、検索式作成の考え方、テキスト検索の問題点等の質問がありました。

[所感]

 特許をご専門の弁理士の方は、自ら特許調査される機会が多いと思いますが、調査能力を更に向上したいと思っておられる方が多いと感じました。
 高度な検索式を作成するための勉強法について角渕先生にご質問したところ、調査能力のある方に検索式を見てもらいアドバイスいただくのがよいとのことでした。今回の研修を機に調査能力の向上に繋げたいと思います。
 また、特許調査のセオリーを身に着けることにより、調査を外注する際にも、情報調査(6W2H)を意識した調査設計を行い、的確な調査依頼をすることに繫がりますので、非常に有意義な研修であったと思います。

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