令和6年度第2回研修 「標準必須特許(SEP)に関する近時の世界の状況」報告

研修委員 林 司

[はじめに]

 近年、標準必須特許(SEP)に関して、世界各国で激しい動きがあり、様々なニュースが毎月のように報じられています。特に通信技術の分野では、IoTの普及に伴って幅広い企業において、SEPの実施者としてライセンス対応を行う必要性が生じてきています。SEPに関する世界の動向は、弁理士としても押さえる必要がある重要なトピックになってきています。そこで、理工系のバックグラウンドを有するとともにSEPに関する判例に精通されている中所昌司先生(長島・大野・常松法律事務所)を講師にお招きし、SEPに関する近時の世界の状況について解説して頂きました。

 今回の研修には、無名会会員だけでなく、他会派の先生方を含め、計25名の方にご参加いただきました。

[講義の内容]

 講義では、先ず、技術の標準化、標準必須特許(SEP)、SEP権利者と実施者の関係についてお話し頂きました。続いて、ドイツにおけるSEPについての考え方と状況、FRANDに関する説明、差止請求事件の判決の内容についてご説明頂き、その後、イギリス、中国、欧州、日本、ブラジル、コロンビア、インド、アメリカの裁判所の動向について、判決のポイントを押さえながらご説明くださいました。

[所感]

 世界各国の裁判所が、どのようにSEP紛争を取り扱っているかを判り易くご説明くださり、それぞれのアプローチの違いを知ることができ、また、SEPの複雑性と国際性への理解を深めることができる内容でした。日本では、SEP訴訟の事例がまだ少ないものの、FRAND条件に基づくライセンスの受け入れ意志が重視される点は興味深い内容でした。各国の判例を通じてSEP紛争における戦略的な視点を知ることができ、講義を聞いた先生方には、今後の実務に活かせる有意義な研修となったように思います。

[懇親会]

 研修会の終了後には懇親会が開催され、講師を含む19名の先生方がご参加くださいました。お料理や飲み物を頂きながら、リラックスした雰囲気の中で、研修の内容や疑問等について講師の先生とお話しをすることができました。また、普段は話しにくいようなトピックも自然に議論でき、充実した時間を過ごせました。

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