2026年第1回無名会研修会 「特許調査の極意 <基礎から生成AI活用、資格の活かし方まで>」実施報告

研修委員長 高山 章子
講 師:弁理士 角渕 由英 先生

[はじめに]

 近年、生成AIの進展により、従来は専門的な知識と多くの時間を要した特許調査の実行プロセスが効率化される一方、得られた情報をどのように評価し、事業上の課題解決につなげるかという専門家の役割が一層重要になっています。今回の研修では、弁理士法人レクシード・テックの角渕由英先生を講師に迎え、「特許調査の極意<基礎から生成AI活用、資格の活かし方まで>」と題して、特許調査の基本的な考え方から、生成AIの具体的な活用方法、検索式作成・スクリーニングの実務、生成AI時代に弁理士が果たす役割まで、幅広くご講義いただきました。

[講義の内容]

本研修では、主に以下の内容について解説が行われました。

・特許調査の目的と種類:「特許調査は手段であり、目的ではない」という基本的な考え方を出発点として、技術動向調査、出願前先行技術調査、侵害予防調査、無効資料調査の目的が整理されました。

・生成AI活用の基本と留意点:生成AIの活用は単なる効率化にとどまらず、従来は難しかった業務への対応や、専門家がより高度な判断に注力するための手段となり得ることが示されました。プロンプトでは「目的」「手順」「前提・基準・情報源」「出力形式」を明確にし、一次情報との整合性、ハルシネーション、機密情報の取扱いに注意することが解説されました。

・生成AIを活用したビジネス視点の調査:事業に資する調査を行うには、最初から特許文献だけを調べるのではなく、対象となる事業・技術やその背景、従来技術、競合等を把握し、解くべき問いを具体化することが有効であるとの説明がありました。また、調査結果は正確であるだけでなく、事業人材・技術人材等の利用者に伝わり、実際の検討や意思決定に活用される形にすることが重要であるとされました。

・特許調査の実務フローと検索式作成:調査業務について、①調査対象の特定、②検索式の作成、③スクリーニング、④報告書作成の流れで整理されました。また、最終的な新規性・進歩性・侵害等の判断から逆算して調査を設計すること、IPC・FI・Fターム等の特許分類とキーワードの使い分け、適合率と再現率のバランスを目的に応じて調整することの重要性が説明されました。

・特許調査における生成AIの具体的活用:検索式作成を補助する例、検索結果のランキング、ノイズ除去、文献抽出等によってスクリーニングを効率化する例が紹介されました。

・生成AI時代に弁理士が果たす役割:生成AIが調査実行を効率化するほど、専門家には、依頼者が本当に解決すべき課題を見極めて「問い」を立て、得られた結果の正確性・妥当性を技術・法律の観点から判断して、具体的なアクションへつなげる役割が求められると説明されました。

[所感]

 本研修を通じ、検索件数や検索式の精緻さ自体を成果とするのではなく、依頼者が解決したい課題を明確にし、最終的な結論や事業上のアクションから逆算して調査を設計することが重要であると再認識しました。AIの活用範囲が広がるほど、「結果を導く力」「結果を読む力」「結果を活用する力」が必要とされ、今後の弁理士業務の在り方を考えさせられました。今後は、調査対象の本質を把握し、必要な情報を逆算して生成AIを積極的に活用していきたいと思います。

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