研修委員 林 司
[はじめに]
近年、AI関連発明の特許性、及びそれに関する審査内容については、特許実務を行う弁理士において必須の検討課題になってきています。今回、世界でご活躍の竹中俊子先生を講師にお迎えし、米国及び欧州のAI関連発明に関する審査について、米国判例法や EPO 審判部判例を踏まえながら解説していただく研修会を、6月8日(木)に開催いたしました。無名会の研修会としては、コロナ禍後の初めての対面形式の集合研修(継続研修)として開催し、35名以上の多くの方にご参加いただきました。
[講義の内容]
竹中先生には、始めに、USPTOの審査に関し、AIが発明したときに問題となる発明者適格性、新規性・進歩性、開示要件等の考え方について、裁判例に基づきながら、時系列的に判りやすくご説明いただきました。次に、EPCの審査について、アメリカの審査と比較しながら、EPC特有の考え方についてご説明いただきました。また、ドイツの裁判の判断についてもご紹介くださいました。最後に、AI関連発明のクレーム・明細書を作成するときに考慮すべき事項についてもお話しくださいました。
[所感]
これからAIに関連する特許出願は日本でも増加してくることが予想され、弁理士には、AI関連発明のクレーム及び明細書を作成する能力や技術が求められてきています。今回の研修では、USPTO及びEPCにおける審査の考え方や、発明者適格性、新規性・進歩性、開示要件のハードルの高さ(又は低さ)を知ることができ、多くの先生方にとって、今後のAI関連発明の実務に有用な知識が得られたように思います。
[懇親会]
今回の研修会は、無名会でも久しぶりに対面形式で行われました。研修会の終了後には懇親会が開催され、講師の先生と多くの先生方にご参加いただきました。懇親会では、AI関連発明についての意見交換や、実務に関する情報交換等が行われました。また、今回の研修に関する内容以外についても多くの人が楽しく会話しており、交流を深めることができたように思います。
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